AZEC+オンライン首脳会合=エネルギー危機対応と転換加速
4月15日、アヌティン首相兼内相は、日本の高市早苗首相の招請により、オンライン形式で開催されたアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)プラス首脳会合に出席した。首相は日本の主導的役割を歓迎し、短期的措置と「AZEC 2.0」の方向性の双方への支持を表明。タイが日本、アセアン加盟国と協力し、危機対応と持続可能なエネルギー安全保障の確立に取り組む用意があると強調した。

AZECは、エネルギー安全保障への対応を目的として日本が2022年に提唱した枠組み。この日の会合には、フィリピン、マレーシア、シンガポール、ベトナム、東ティモール、バングラデシュ、タイの加盟国首脳に加え、韓国、オーストラリア、ブルネイ、インド、スリランカの閣僚級代表、国際エネルギー機関(IEA)とアジア開発銀行(ADB)の代表も参加した。
高市首相は、AZEC加盟国を支援する新たなイニシアティブを発表し、原油、石油製品や生活必需品の調達に対する低利融資の提供、財政支援措置を提示した。また、加盟国の長期的なエネルギー・レジリエンスの強化に向け、協力を「AZEC 2.0」へと発展させることを提案した。
高市首相は会議の冒頭、ホルムズ海峡を経由するエネルギーや資源の供給が滞ることの影響を最も受けているのはアジアであり、その影響はサプライチェーンで密接に結びつくすべての国に及ぶため、深刻な懸念を共有するアジアの国が共に対応することが必要と指摘した。そのうえで、緊急対応と中長期な構造的対応の両輪からなる、新たな協力の枠組みとして「アジア・エネルギー・資源供給力強靭化パートナーシップ(パワー・アジア)」(Partnership On Wide Energy and Resources Resilience Asia(POWERR Asia))の立上げを発表した。アジアにおける原油・石油製品などの調達やサプライチェーン維持のための融資といった緊急対応や、アジア域内の原油備蓄日数の拡大に向けた備蓄・放出制度の構築、備蓄タンクの建設・利用、重要鉱物の確保、バイオ燃料といったエネルギー源多様化、省エネへの取組を通じた産業の高度化などの構造的対応に取り組むため、総額約100億㌦の金融面での協力を行なう。アジア諸国の原油や石油製品の調達に換算すれば、最大で約12億バレル、アセアンの約1年分の原油の輸入に相当する。
ラチャダー・タナディレーク政府報道官によれば、会合においてアヌティン首相は、中東情勢に起因するエネルギー市場の不安定化が続くなか、地域協力の重要性を強調した。各国間の相互依存関係は不可欠で、海上の安全確保は世界のエネルギー・食糧安全保障にとって重要だと指摘した。
首相はまた、多くの国が類似の対応策を講じているものの、それぞれ能力や制約が異なるため、国際協力が不可欠だと述べた。アセアンでは外相レベルでの協議が行なわれており、今後は首脳会議においても議論を継続し、日本との協力を通じてサプライチェーンの安定化と重要分野のレジリエンス強化を図る方針を示した。
短期的には、エネルギー市場の安定維持と協力枠組みを通じた影響緩和の必要性を強調した。タイが国内の燃料管理を厳格に実施し、エネルギーコストの急騰を防ぐとともに、国民向けの対象別支援策も講じていることを示した。政府は国民生活を最優先とし、十分なエネルギー供給を適正価格で確保するとともに、世界的なエネルギー価格上昇による生活費負担の軽減に取り組む方針。
長期的には、今回の危機をエネルギー転換を加速させる機会と捉え、バイオ燃料比率の引き上げ、太陽光発電の拡大、再生可能エネルギーの地域サプライチェーン強化などを推進し、ネットゼロ達成を目指す。
アヌティン首相は、AZECプラス首脳会合出席後、報道陣の取材に応じた。エネルギー安全保障を強化しつつ国民への負担を増やさない形で、国内のエネルギー利用構造の転換が必要なことを改めて強調した。また、現在の世界的エネルギー危機について、代替エネルギーへの移行を加速し、ネットゼロ目標の達成を前倒しする機会と捉えていると述べた。政府は直面する障害に屈することなく、継続的に適応していく考えで、経済の持続性を確保しつつ国連の持続可能な開発目標(SDGs)と整合する形で、代替エネルギーの開発を重視すると強調した。
中東情勢については、政府が特にエネルギー価格と原油輸入への影響を注視しつつ、状況を継続的に監視していると説明した。現時点でタイは直接的な影響を受けていないが、国際情勢は急速に変化し得るため、慎重かつ油断なく対応する必要があるとし、エネルギー省と連携して備えを進めていると述べた。
また首相は、国民が省エネに協力していることに謝意を示し、特に最近の燃料使用量の減少が国内の石油備蓄の増加につながり、状況の緩和に寄与していると評価した。一方で、エネルギーの安定を維持するため、政府として引き続き慎重な管理が必要だと強調した。
対外関係では、シーハサック・プアンケートゥケーオ副首相兼外相と代表団が中東諸国、特にオマーンとイランを訪問し、物流、貿易、タイに有利な条件に関する協議を行なうとともに、現地の状況把握と在留タイ人の保護に当たっていると説明した。協議は良好な方向で進んでおり、相手国からも好意的な反応を得ているとし、今後の経済協力と安全保障の強化につながるとの見通しを示した。
生活費支援策については、国民の負担軽減を最優先に、法的枠組みのもとで各種施策を加速させると述べた。既存の構想を発展させた新たな事業の検討を進めているほか、電気料金支援として、すべての世帯に対し最初の200ユニットの電力料金を適正水準に設定する方針を示した。
さらに、商業省と内務省が連携し、低価格の日用品販売を進め、全国すべての郡において品質の確保された商品を手頃な価格で供給し、生活費の軽減と選択肢の拡大を図るとした。
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