3空港高速鉄道、重大局面へ=CP系が契約終了通知
ドンムアン、スワンナプーム、ウタパオの3空港を結ぶ東部経済回廊(EEC)の高速鉄道事業が重大な局面を迎えている。事業会社のアジア・エラワン社(CPグループ)がタイ国鉄(SRT)に契約終了を求める通知を提出した一方、政府は事業継続を前提に、新たな民間事業者の選定や事業計画の見直しも視野に入れた検討を進めている。今後はEEC政策委員会で方向性を決定する見通しだ。
◆契約変更を優先
SRTのアナン・ポーニムデーン総裁[=写真]は7月9日、アジア・エラワン社が7月6日付で、契約第6.2条に基づき契約終了を求める通知を提出したことを明らかにした。

同日のSRT理事会では、東部経済回廊事務局(EECO)とアジア・エラワン社を交え、6月24日に開いた3者協議の結果が報告された。
協議では今後の対応として2つの選択肢が示された。
第1案は、EEC政策委員会と内閣が過去に決定した方針を見直し、契約を修正する案だ。修正契約案はすでに最高検察庁の審査を終えており、民間側も18項目の修正指摘をすべて受け入れている。
今後、EEC政策委員会と内閣が修正契約案を承認すれば、新たな入札を行なうことなく建設工事を開始できる。
一方、第2案は契約終了だ。内閣による方針見直しや契約修正案の承認が得られなかった場合に検討する。SRTは、まず契約修正を通常の手続きで進め、その後も民間側が事業継続は困難との立場を維持した場合に、契約終了を慎重に検討する考えだ。
◆「BOI恩典受けられず資金調達困難」
アナン総裁によると、アジア・エラワン社は、投資委員会(BOI)の投資優遇の条件を満たせず、着工通知(NTP)の発行にも応じられないことを契約終了の理由としている。
同社は、BOIの投資優遇を受けられなければ金融機関からの融資を受けることが難しくなるとして契約内容の見直しを求めてきた。しかし、期限内に合意に至らなかったため、契約上の権利を行使したという。
事業は、CPグループが主導するアジア・エラワン社がコンセッション契約に基づいて進めてきたが、新型コロナ禍やロシア・ウクライナ戦争の影響を理由に契約条件の見直しを求め、着工は大幅に遅れていた。
◆EEC事務局「新事業者選定も選択肢」
EEC事務局のチュラ・スックマノップ事務局長は、近くアヌティン首相が議長を務めるEEC政策委員会で今後の対応が審議されると説明した。委員会の開催時期は首相の日程次第としながらも、「事業を前進させるためには早急な判断が必要だ」と強調した。
「政府は新たな事業パートナーを選定するのか、それとも事業採算性を高めるため技術仕様を見直すのかを決めなければならない」と述べ、必要に応じて新たな民間事業者の選定も視野に入れていることを明らかにした。また、「当初計画は採算面で課題を抱え、銀行融資の確保も難航した」と説明した。
チュラ事務局長は、アジア・エラワン社とSRTの契約について、契約条件が履行されなかったことから契約終了に向けた手続きが進んでいると説明した。
一方で、アジア・エラワン社は正式に事業撤退を表明しておらず、今後の協議では資産の分割が主要な議題になるとの見方を示した。「契約終了は離婚のようなものだ。双方が資産の帰属や損害賠償について整理しなければならない」と述べる一方、その手続きによって事業開発が停滞してはならないとの認識も示した。
さらに、高速鉄道はEECへの投資誘致に不可欠な基幹インフラであり、「政府が計画を最後まで完成させる方針に変わりはない」と強調した。投資家に対しても事業継続への姿勢を明確に示したい考えだという。
◆ARL運行継続へ代替策を検討
契約終了となった場合の影響は、高速鉄道事業だけにとどまらない。
アナン総裁は、エアポート・レール・リンク(ARL)の運営権が高速鉄道事業契約と一体となっているため、本契約が終了すれば民間側の運営権も失効すると説明。「ARLへの影響は大きな課題になる」と述べた。
現在のARL運営に関する覚書(MOU)は2026年9月30日に期限を迎える。
SRTは、民間側とのMOU延長によって一定期間運営を継続する案や、SRTが直接運営を引き継ぐ案など複数の選択肢を検討している。利用者への影響を最小限に抑え、ARLの運行を継続することを最優先に対応する方針だ。
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