FETCOが5つの戦略=2040年までの先進市場入り
タイ資本市場連合会(FETCO)は7月6日、「タイ資本市場を世界水準の市場へ発展させる」とする新たな長期ビジョンを発表した。2032年までにアセアンを代表する資本市場となり、2040年までに「先進市場(Developed Market)」入りを目指す。投資家基盤の拡大や市場制度改革など5つの戦略を柱に、資本市場を高所得国入りを支える成長基盤へと発展させる。
FETCOのパイブーン・ナリントランクン会長[=写真]は、新たなビジョンと事業戦略を発表し、資本市場が投資資金を効率的に配分する中核的な役割を担うとの考えを示した。国の競争力向上や新時代の経済への対応、高所得国入りを後押しするとともに、イノベーション、透明性、公平性、コーポレートガバナンスの面でも国際的に評価される市場を目指すという。

同会長は、タイの資本市場はこれまで資金調達や貯蓄、投資資金の配分を通じて経済発展を支えてきた一方、近年は国際競争の激化や技術革新、投資家行動の変化など新たな課題に直面していると指摘した。資本市場の高度化には、政府、民間、規制当局など関係者が連携し、国際競争力を備えた資本市場のエコシステムを構築する必要があると述べた。
◆2028年までに競争力向上へ
FETCOは2026~28年を短期目標期間とし、長期的な流動性と強固な投資家基盤の確立を目指す。
国際基準に沿った制度整備を進めるほか、新時代の経済に対応した投資商品を充実させ、ガバナンスや透明性、持続可能性を重視した資本市場のエコシステムを構築する。これにより投資家の信頼を高め、官民双方の資金調達を支援し、タイ経済全体の競争力向上につなげる考えだ。
◆5つの戦略で市場改革
目標達成に向け、FETCOは5つの重点戦略を掲げた。
第1は投資家基盤(デマンドサイド)の拡大。
TISA(タイ個人貯蓄口座)制度を活用して長期投資文化を定着させるほか、国民年金基金の設立を後押しする。さらに海外の長期資金や富裕層(グローバルHNW)の投資を呼び込み、海外へ流出しているタイ人資金の国内還流を促す。また、民間部門の投資機会拡大に向けた法改正も進める。
第2は市場の魅力向上(サプライサイド)。
新時代の経済に対応した投資商品や資金調達手段を整備し、インフラファンドの流動性の向上を図る。次世代産業の企業による証券取引所への上場を支援するほか、「Jump+」プロジェクト参加企業への優遇措置を進める。加えて、中小企業(SME)やテクノロジー企業が資本市場を活用しやすくなるよう制度整備を進める。
第3は市場インフラとエコシステムの整備。
資本市場とデジタル資産市場の連携を進めるとともに、投資情報を一元管理するデータベースを構築する。SME向け信用評価機関(SME Credit Scoring Agency)の設立や信託法制の見直しも進め、資産管理や事業承継に対応できる制度を整備する。
第4は市場への信頼向上。
法令の厳格な執行や監督体制の高度化を進めるほか、資本市場専門裁判所の設置や破産法、関連法令の見直しを通じて投資家保護を強化し、市場への信頼の向上を図る。
第5は投資家向け広報活動の強化。
政府による海外ロードショーを積極的に展開し、世界の投資家にタイ資本市場の魅力を発信する。また、「資本市場と政府の対話」イベントを定期開催するほか、「FETCO投資家信頼感指数」を毎月公表し、国内外に経済・投資情報を継続的に発信していく。
◆2032年にアセアン首位、2040年に先進市場へ
中期目標として、FETCOは2032年までに資金調達、流動性、投資家基盤、金融イノベーションの各分野でアセアンを代表する資本市場となることを掲げた。
域内企業が上場先として選ぶ市場となり、世界中から長期資金を呼び込むことで、タイ経済の競争力向上と高所得国入りを支える中核的な役割を果たす考えだ。さらに長期ビジョン「Vision 2040」では、タイ資本市場を「先進市場」へ引き上げることを最終目標に掲げた。
世界水準の資本市場エコシステムを整え、多様な投資商品、厚みのある流動性、強固な投資家基盤を実現するとともに、国内外の投資家が利用しやすい国際市場を築く。また、透明性やコーポレートガバナンス、持続可能性を重視し、高所得国としての競争力を支える経済基盤を築く方針だ。
パイブーン会長は、「強固な資本市場を築くことは資本市場業界だけの目標ではなく、国の潜在力を高める重要な仕組みだ。タイが高所得国となり、世界経済のなかで競争力を維持するためには、資本市場の近代化、透明性の向上、イノベーションの推進、そして国内外の投資家からの信頼獲得が不可欠だ」と述べ、官民が一体となった市場改革の必要性を強調した。
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