住宅市場は政府の政策が下支え=27年の移転額9083億バーツ予測
政府住宅銀行(GHB)の不動産情報センター(REIC)はこのほど、2026年上期の住宅市場と26~27年の見通しを発表した。上期の全国住宅所有権移転件数は前年同期比17.6%増の16万7665戸、移転額は9.8%増の4298億3900万バーツだった。所有権移転・住宅ローン担保権設定手数料の引き下げや、住宅ローンの融資規制(LTV)の緩和が市場を押し上げた。
政府は所有権移転・抵当登記手数料の引き下げ措置を26年7月1日から27年6月30日まで1年間延長した。REICは支援効果が27年まで続くとみており、27年通年の住宅所有権移転額を9083億5800万バーツと予測する。
マーナ・ニミットワニット所長[=写真]は、タイ経済が徐々に回復し、GDPも緩やかに成長していることが購買力の改善を支えていると説明した。比較的価格の低い中古住宅市場も拡大が続く。

26年通年の全国住宅所有権移転件数は前年比2.3%増、移転額は1.8%増を見込む。一方、高水準の家計債務、金融機関による厳格な融資審査、建設・輸送コストの上昇、地政学問題や貿易障壁による世界経済の不確実性は引き続きリスク要因となる。
◆上期移転17.6%増
26年上期の全国住宅所有権移転件数は16万7665戸、移転額は4298億3900万バーツだった。25年上期の14万2619戸、3916億100万バーツからそれぞれ17.6%、9.8%増えた。
主な押し上げ要因は、既存の所有権移転・抵当登記手数料の引き下げに加え、住宅ローンと住宅ローンに関連するその他融資を対象にしたLTV規制の緩和だった。25年は両措置が第2四半期から始まったため、26年上期の高い伸び率には前年の反動も影響した。
物件別では低層住宅の分譲住宅が市場の中心で、所有権移転総額の70%を占めた。移転件数は11万1624戸で前年同期比14.6%増、移転額は2994億3200万バーツで6.1%増だった。
コンドミニアムは移転総額の30%を占めた。移転件数は5万6041戸で24.1%増、移転額は1304億700万バーツで19.3%増えた。
市場構造では実需の比重が鮮明になっている。中古住宅の市場シェアは63%に上昇し、新築住宅は37%だった。中古住宅は1㎡当たりの価格に割安感があり、都市部に近い立地も現在の購買力に合っているという。
価格帯別では201万~300万バーツの比率が24%に上昇した。一方、100万バーツ以下は27%に低下した。
◆外国人のコンド購入減速
外国人によるコンドミニアム購入は減速した。26年上期の所有権移転件数は6533戸で前年同期比8.8%減、移転額は282億6700万バーツで1.5%減った。
国・地域別の移転額では中国が68億7400万バーツで最も多かったものの、前年同期比27.7%減少した。中国人は引き続きバンコクとチョンブリ県の主要購入者となっている。ロシアは36億300万バーツで75.9%増え、プーケット県とチョンブリ県で大きく伸びた。ミャンマーは24億5700万バーツで16.2%減少し、購入先は主にバンコクだった。これに米国、台湾、フランス、英国、ドイツ、オーストラリア、インドが続いた。
◆住宅ローン新規貸出12.2%増
26年上期時点の個人向け住宅ローン残高は5兆1741億4100万バーツで、前年同期比2.6%増えた。上期の個人向け住宅ローン新規貸出額は2893億1500万バーツで12.2%増だった。特に第2四半期は18.4%増と大きく伸び、住宅所有権移転の増加と歩調を合わせた。
REICは26年の住宅市場について、GDP成長率2.25%、最優遇小口顧客貸出金利(MRR)6.55%、インフレ率1.75%を前提に予測している。
第2四半期に住宅所有権移転が加速した一方、移転・抵当登記手数料の引き下げ措置が27年6月30日まで延長されたことで、26年下期の市場は安定的に推移しそう。
26年通年の住宅所有権移転件数は32万3479戸で前年比2.3%増、移転額は8807億6000万バーツで1.8%増を予測する。個人向け住宅ローン新規貸出額は5710億6600万バーツで1.4%増を見込む。
◆27年は移転額3.1%増
REICは市場の回復の流れが27年も続くと予測する。住宅所有権移転額は9083億5800万バーツで前年比3.1%増を見込む。一方、移転件数は32万617戸で0.9%減と予測する。
移転額の伸びが件数を上回る背景には、建設コストの上昇に加え、27年1月1日から27~30年の新たな土地評価額が適用されることがある。
27年の個人向け住宅ローン新規貸出額は5826億8800万バーツで、前年比2.0%増を見込む。
マーナ氏は、26~27年の住宅市場について、高水準の家計債務や厳格な融資審査への警戒が必要と指摘した。一方、実需層、価格面で割安感のある中古住宅市場、チョンブリ県やプーケット県など観光地のコンドミニアム市場には成長余地があるとみる。
政府の支援を受けている省エネ住宅「Green Living」も、新たな成長機会の一つとして挙げた。
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