BOI・SET・SEC、上場支援で連携=ニューエコノミー企業に追加税優遇
投資委員会(BOI)事務局、タイ証券取引所(SET)、証券取引等監視委員会(SEC)事務局は9月17日、BOIの投資奨励を受けた企業の資金調達や株式上場を支援する協力覚書(MOU)を取り交わした[=写真]。「BOI to IPO」として、特に10のニューエコノミー対象産業の企業による資本市場への進出を後押しする。SETの認定を受けたニューエコノミー企業には、法人所得税を追加で3年間免除するか、5年間50%減税する優遇措置も設ける。

財務省で開いた署名式には、BOIの委員長を務めるエークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相が立ち会った。BOI、SET、SECの支援策を組み合わせ、投資奨励を受ける企業が成長段階に応じて資本市場から資金を調達できる仕組みを構築する。既存の上場企業にもBOIの優遇措置の活用を促し、企業競争力の向上とタイ経済の構造転換につなげる。
エークニティ副首相は、技術革新や世界のサプライチェーン再編、未来産業を巡る投資誘致競争が進むなか、タイ経済は構造改革の重要な時期にあるとの認識を示した。
政府は投資主導の成長を重視する。単なる投資額の増大ではなく、技術やイノベーションの導入、高技能雇用の創出、タイ人材の育成、タイ企業によるサプライチェーンへの参画などを通じ、国内に付加価値を生み出していく考えだ。
「BOI to IPO」は投資奨励政策と資本市場を結ぶ仕組みで、タイに投資して事業基盤を築いたニューエコノミー企業が国内で資金を調達し、タイを拠点に継続的に成長できる環境をつくる。国内資金を成長力のある企業に振り向ける。資本市場の構造を新たな産業構造に近づける狙いもある。
エークニティ副首相は、同制度について、企業の資本市場へのアクセス支援にとどまらず、投資が長期的にタイに新たな価値を生み出すための戦略の一環と説明した。テクノロジー企業やニューエコノミー企業を誘致して拠点を設けてもらうだけでなく、タイを起点に事業を成長・拡大させ、技術や人材を育て、より強固な経済のエコシステムを形成することを目指すと強調した。投資奨励政策と資本市場政策を連動させることで、投資を工場建設や事業開始だけで終わらせず、長期的な企業の成長や国の新たな能力につなげる。
ナリット・トゥードサティラサックBOI事務局長は、「BOI to IPO」がBOI、SET、SECの支援策を結びつけ、投資奨励を受けた企業の株式上場を支援する枠組みになると説明した。BOIは追加の投資優遇措置を用意し、企業の参加を促す。SETとSECは、SETまたはオルタナティブ・インベストメント市場(mai)への上場準備や上場手続きを支援する。
ナリット氏は、成長力の高い企業がタイ国内で資金を調達し、継続的に事業を拡大できれば、企業が長期にわたってタイ経済に深く根付くことにつながると指摘した。タイ国民にとっても、成長力の高い企業に投資し、株式を保有する機会が広がるとした。株式上場にはコーポレートガバナンスや透明性の高い経営が求められることから、BOIの投資奨励を受けた企業の経営水準向上にもつながり、タイ経済が長期的に成長する基盤になるとの見方を示した。
タイでは、外資が生産拠点を設けた後、事業を成長させてタイ資本市場に上場した例がある。デルタ・エレクトロニクス(タイランド)やカルコンプ・エレクトロニクス(タイランド)が代表例。「BOI to IPO」では、こうした事例をさらに広げる。特にニューエコノミー企業がタイ国内で資金を調達して事業を拡大し、タイを世界市場への展開拠点として活用できるよう支援していく。
参加企業には既存の投資優遇措置に加え、税制上の特典を設ける。SETの認定を受けたニューエコノミー企業は、法人所得税を追加で3年間免除するか、5年間50%減税する。一般企業についても事業の種類に応じ、法人所得税を追加で2年間免除するか、3年間50%減税する。
アサデート・コンシリSET所長は、「BOI to IPO」が成長力の高い企業による資本市場へのアクセスを促す重要な一歩になると説明した。投資奨励制度とタイ資本市場を具体的に結びつける枠組みになるとの認識を示した。
SETはすでに上場基準を見直し、BOIの投資奨励を受けた企業が従来より容易かつ迅速に上場できるようにしている。「BOI to IPO」がニューエコノミー企業の上場を後押しする重要な要素になるとみている。
SETと資本市場開発基金(CMDF)は、定められた条件を満たす企業を対象に、上場手続きにかかる費用も支援する。SETとSECは現在、IPO手続きを簡素化し、所要期間を短縮するための試行も進めている。SETは今回の3機関の連携によりタイ資本市場の魅力が高まり、新たな経済構造への持続的な移行を支える力になるとみている。
ポンアノン・ブサラトラクンSEC事務局長は、SECが成長力のある企業による資金調達を支えやすい資本市場のエコシステム形成を重視していると説明した。特にニューエコノミー企業は、タイの競争力向上や長期的な成長に重要な役割を担うと指摘。「BOI to IPO」を通じ、投資奨励を受けた企業が上場準備を進め、資本市場から効率的に資金を調達できるよう支援する。
SECはBOI、SETと緊密に連携し、IPOの審査手続きや方法を国際基準に沿って簡素化、迅速化する。投資判断に必要な情報の十分な開示を重視するほか、企業や関係者による内部統制の高度化も支援する。質の高い企業が資本市場へ効率的かつ適切に参入できる環境をつくる一方、投資家保護とタイ資本市場への信頼確保にも配慮する。
「BOI to IPO」が対象とするニューエコノミー事業には、高度農業・食品、バイオ燃料・バイオケミカル、医療・健康、創造型観光、次世代自動車、航空・物流、デジタル・電子商取引、スマートエレクトロニクス、ロボット、技術・イノベーション開発の10産業を含む。これらの産業への投資と資本市場からの資金供給を結び付け、タイ経済の高付加価値化と持続的な成長につなげる。
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