データセンター、電力使用量で7段階=新規100件超を厳格審査
データセンター事業政策委員会は、タイ国内のデータセンターを電力使用量に応じて7段階に区分し、規模に応じた最低基準や実務規範(Code of Practice:CoP)を適用する新たな管理方針をまとめた。すでに稼働している案件や建設中の案件には1年間の移行期間を設ける一方、まだ許認可を取得していない100件超の新規案件については、経済、社会、環境、国家戦略への貢献度を審査する。データセンターの許認可や資源使用状況を一元管理するデータセンター・ワンストップサービス(DC-OSS)も設置する。11月3日の閣議に提出する。
同委の委員長を務めるエークニティ・ニティタンプラパート副首相兼財務相は10月27日の会合後、データセンターは将来のAIを支える重要なインフラである一方、タイが求めるのは投資資金だけではなく、国民に負担を生じさせず、国内に実質的な価値と能力を残す投資だと語った[=写真]。

同委は、①電力使用量に応じた7段階の分類と最低基準の設定、②既存・建設中案件に対する1年間の移行期間、③DC-OSSの設置――を柱とする方針をまとめた。
◆電力使用量で7段階に分類
デジタル経済社会省(DE)には「ダッシュボードTH-DC」を整備させ、データセンターに関する許認可情報を一元的に収集・整理する。各案件の進捗状況に加え、電力や水などの資源使用状況を把握し、国全体で適切に管理できる仕組みを構築する。
データセンターについては、電力使用量に応じて7段階に分類する。国家経済社会開発評議会(NESDC)のダヌチャー・ピチャヤナン事務局長によると、区分はレベル1が0~0.5MW、レベル2が0.5~5MW、レベル3が5~10MW、レベル4が10~20MW、レベル5が20~50MW、レベル6が50~200MW、レベル7が200MW以上とする。
レベル1~4は小規模案件として比較的緩やかな基本要件を適用し、CoPは「Lite」と呼ばれるバージョン1を使用する。レベル5にはバージョン2を適用する。レベル6~7については、大規模事業者に急激な適応を求めることがないよう、適用するCoPを今後改めて公表する。
今後新たにサービスを開始するデータセンターには最低基準も設ける。電力、水、都市計画、安全性、エネルギー使用、地域社会への影響などを総合的に審査し、秩序立った事業開発を進める。
基準を満たす案件は事業を継続できるが、基準に適合していない場合には改善を求める。
◆既存・建設中案件に1年間の移行期間
現在すでに稼働しているデータセンターや、建設許可を取得済みの案件、建設中の案件については、新しい規則を遡及して適用し、投資を中断させることはしない。
ただし、データセンターの規模に応じてCoPを適用し、新基準に合うよう調整を求める。事業者には1年間の適応期間を与える。
同時に審査委員会を設置し、電力、水、都市計画、安全性、環境など多方面から基準への適合状況を確認する。既存投資を尊重しながら、公平な移行を進める方針だ。
エークニティ氏は、すでに投資を行ない適正に事業を運営している事業者については継続できるようにする一方、基準を満たしていない案件には改善を求め、適切な形で事業を続けられるようにする必要があるとした。
◆新規案件は国への実質的な利益を審査
一方、まだ許認可や建設許可を取得していない案件は新規案件として扱い、新たな審査手続きの対象とする。審査では投資額だけでなく、タイ経済にどの程度の実質的な利益と価値をもたらすかを重視する。経済、社会、環境、国家戦略の各面から評価し、タイ企業がサプライチェーンに参入できるか、タイ人の技能向上につながるか、国内の電力や水などの資源を国益につながる形で利用できるかなどを確認する。
審査委員会を設置するほか、民間事業者に事業計画を発表・説明させ、各案件がタイにもたらす利益を比較する。立地の適切性、水・電力使用量、地域の受け入れ能力なども確認し、限られた資源を利用する以上、国に最大限の利益をもたらす案件を選定する。
◆DC-OSSで案件を一元管理
同委は、国内のデータセンター案件を一元的に追跡・管理する中央メカニズムとしてDC-OSSを設置し、デジタル省に運営を担当させる。データセンターがどこに立地し、どの程度の電力や水などの資源を利用しているかを把握するとともに、許認可や事業状況を一元的に管理する。ダッシュボードTH-DCと合わせ、案件全体を継続的に監督する体制を整える。
エークニティ氏は、データセンターを将来のAI経済を支えるインフラとして活用し、タイの経済的価値や技術力向上につなげる一方、国民、社会、環境への過度な負担を避けることが重要だとの認識を示した。
◆稼働63か所、建設中20か所
NESDCによると、現在のデータセンター案件は大きく3つのグループに分かれる。
すでにサービスを開始しているデータセンターは63か所で、大部分は小規模案件となっている。これらには規模に応じたCoPを適用し、1年間で新基準への適合を求める。
建設中または営業許可を待っている案件は20か所。閣議で新方針が承認された後も事業を継続できるが、既存案件と同様に移行期間内で基準への適合を進める。
一方、すでに提案が出されているものの、許認可や建設許可を取得していない新規案件は100か所を超えており、新しい審査制度の適用を待っている。これらの新規案件については審査委員会による審査方式に移行し、事業者に事業計画を発表・説明させる。立地、水・電力の利用、地域の受け入れ能力、国内産業への波及効果などを評価したうえで、タイに大きな利益をもたらす案件を選ぶ。
政府は詳細な基準を早急に取りまとめ、新規案件への新制度を12月ごろから適用することを目指す。
データセンター政策委は、新規投資の呼び込みだけを重視するのではなく、電力や水などの資源利用と国内への経済効果を一体的に管理する方針。既存投資には円滑な移行期間を設ける一方、新規案件については国内企業のサプライチェーン参入や人材育成まで含めて審査し、AI関連投資をタイ経済の実質的な付加価値につなげる。
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