2024年6月18日(火)号

SET指数1300p割れ=政治の不確実性を懸念

 週明け17日のタイ株式市場は、国内政治情勢への懸念から株価が下落し、SET指数は1300ポイントを割り込んだ。SET指数の17日終値は1296.59ポイントで前営業日比0.76%安となった。市場は18日に判断が下ることになっていた憲法裁判の行方を懸念している。①首相の国務大臣資格②前進党の解党請求③上院議員選出方法に関する違憲立法審査請求に対する憲法裁判所の判断結果によっては、政局が流動化する事態もありうるため。
 17日は域内の株式市場も下落しており、タイ株式市場の下落は域内の株安に連動した部分もある。バンコク・ドゥシット・メディカル、バンコク銀行、アドバンスド・インフォ・サービス、PTT、カシコン銀行などの優良株が軒並み値を落とした。
 アナリストは1300ポイントを割り込んだことについて、セーター首相に対する憲法裁判をはじめとする国内政治の不確実性が主因と分析している。違憲判断が出て、新たな首相の選出で連立与党が合意できない場合、下院解散の可能性もあるとの見方が浮上している。
 タイ株式市場は、政治的な不確実性が注目されるようになった5月下旬以降、下げ足を速めており、外国人投資家は連日売り越しを続けている。外国人投資家の年初からの売り越し額は17日までに1000億バーツを超えた。
 18日の株式市場は1301.99ポイントと1300ポイントを超えて寄り付き、前場には一時1310ポイントまで上昇した。しかし13時前にセーター首相の国務大臣資格をめぐる裁判で、憲法裁が15日以内に追加の証拠提出を求め、審理を継続すると決定したことが伝わり、後場開始直後から株価は下げた。SET指数は15時現在、再び1300ポイントを割り込んでいる。憲法裁は首相の国務大臣の資格問題について、次回の審理を7月10日と発表している。
 選挙委員会(EC)による前進党の解党請求についても継続審理となり、7日以内に追加の証拠書類の提出を命じている。次回の審理は7月3日と発表した。
 上院議員の選出方法をめぐる憲法付属法の違憲立法審査請求については、合憲との判断を下した。タイ王国憲法は憲法付属法について、国王上奏前に憲法裁判所が精査すると規定しており、憲法裁は憲法に違反する内容でないことをすでに示していたことから、大方の予想どおりの判断となった。
 なお上院議員の選出は16日に県レベルでの選出が行なわれ、郡レベルで選出された候補者2万3561人による互選で7000人が選出された後、3000人に絞り込まれた。26日に実施される国レベルでの選出で200人の上院議員が選ばれることになっている。
 一方、18日にはタクシン元首相が不敬罪容疑で検察庁に出頭、起訴されている。

外相が近隣国との外交方針発表=ミャンマー和平仲介の考え

 4月の内閣改造で新たに就任したマリット・サギアムポン外相は6月14日に記者会見を開き、近隣国との外交方針を明らかにした。
 ミャンマー和平に関しては、隣国として積極的な役割を果たしていく考えを示した。外相は近隣諸国との良好な関係を保つことがタイの安定にとって不可欠だと指摘。「ミャンマーの内戦激化は国境の治安状態を悪化させている」として、人道支援に加えて、内戦終結に向けた和平の仲介などでタイが積極的な役割を担っていく方針を示した。

マリット外相


 ただミャンマーの国内事情については、「非常にセンシティブで、時間をかける必要がある」と述べ、性急な和平工作には慎重な姿勢を示した。ミャンマーとはコールセンター詐欺や麻薬取引などの犯罪取締で協力すべき課題が山積し、「こうした問題の解決に向けても、和平を通じた両国の関係強化が必須条件になる」と語った。
 域内外交では「6か国、1デスティネーション」と名づけた域内観光振興の協働でも域内各国が団結していくため、タイが主導的な役割を果たしていく意向を明らかにした。
 「アジアのバッテリー」として域内の電力供給源としての国際的役割を重視するラオスを支援し、風力発電や太陽光発電、水力発電などの再生可能エネ発電で協力していく考えも示した。マレーシアとは長年の国境地域での治安問題で協力関係を強化していくほか、南部経済特区の開発でも協力を取り付けていく考え。カンボジアとはシアムリアップにタイ領事館を開設する計画があるほか、陸路交通面での開発で協力していく。
 外相は民間主導のアプローチでタイの国際的信用を高めていくことも重要との考えで、長年の国内の政治対立で外国からの投資が冷え込んだ側面があることから、回復に向けた信頼感の醸成が重要との見方を示した。「貿易と投資の回復が最大の鍵で、民間の役割が重要になる」とした。

タイ証券取引所=次期所長にアサデート氏

オートアライアンス・タイ=生産台数累計400万台達成

相次ぐ工場閉鎖=タイ中銀は懸念せず

架空口座開設=中銀が防止策を発表

BOIとHSBC=外資誘致で協力覚書

BIG社が物品税局と提携=ネットゼロ実現を支援

ロボット医療サービス=医療サービス局が拡大

WHAユーティリティ=今年の収入大幅増

バンコク・オートサロン=26日からインパクトで開催

[社会ニュース]
タクシン元首相が出頭=50万バーツで保釈

日本の人食いバクテリア=保健省が注意喚起

幼児の10人に1人=「食生活が貧弱な状態」

農薬の健康被害=減少傾向に

[トピックス]
温室効果ガス管理機構

[インタビュー]
KCGコーポレーション

[論調]
24年残り期間のタイ経済

[データ]
4月の外国人観光客数

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