2026年5月19日(火)号

1~3月の成長率2.8%に加速=NESDC通年予測は1.5~2.5%増

 国家経済社会開発評議会(NESDC)事務局が5月18日に発表した2026年第1四半期のタイ経済は、前年同期比2.8%成長となり、前の四半期の2.5%から成長率が上昇した。季節調整済みでは前期比0.7%増となった。支出面では投資、物品輸出、政府支出が成長を押し上げ、民間消費も引き続き堅調に推移した。サービス輸出も再びプラス成長へ転じた。
 民間消費は前年同期比3.2%増となり、非耐久財、半耐久財、耐久財、サービスの全分野で拡大した。ただしサービス支出は医療や輸送分野の伸びの鈍化を受け減速した。耐久財支出は6.8%増となったものの、自動車購入の伸び縮小を背景に前四半期から減速した。政府消費支出は3.4%増で、財・サービス購入費や社会福祉給付の拡大が寄与した。
 総固定資本形成(投資)は前年同期比9.9%増となり、2015年第1四半期以来の高い伸びを記録した。民間投資は10.1%増となり、産業機械や車両への投資が拡大した。一方、住宅や商業ビル建設の伸びの鈍化により建設投資は減速した。政府投資は9.4%増となったが、中央政府の建設事業の減速で前四半期から伸びが鈍化した。
 対外貿易では、物品輸出額が950億9600万㌦となり、前年同期比17.8%増加した。電子機器や電気製品、通信機器、コンピュータ・同関連製品の輸出拡大が全体を牽引した。米国、中国、アセアン、EU向け輸出が増加した一方、中東や韓国向けは減少した。輸入額は953億9900万㌦で33.1%増加し、18四半期ぶりの高い伸びとなった。その結果、貿易収支は14四半期ぶりに赤字へ転落した。
 生産面では、農業、製造業、宿泊・飲食サービス業、運輸・倉庫業が拡大した。製造業は0.9%増となり、電子部品やコンピュータ・同関連製品が拡大した。国内向け生産もプラス成長へ回復した。平均設備稼働率は61.26%と前の四半期を上回った。
 経済安定面では、失業率は0.91%となり、前の四半期を上回った。一般インフレ率は4四半期連続でマイナスとなり0.5%低下したが、コアインフレ率はプラス0.6%だった。経常収支は32億㌦の黒字を維持した。公的債務残高は12兆6800億バーツで、GDP比66.38%だった。
 NESDCは2026年のタイ経済の成長率を1.5~2.5%と予測し、中央値を2.0%としている。民間消費と民間投資の継続的な拡大、政府支出の増加、輸出の拡大が成長を支える見通しだ。民間消費は2.4%増、民間投資は3.7%増と予測した。輸出額はドル建てで9.6%増加が見込まれる一方、外国人観光客数の減少によりサービス輸出の伸びは鈍化すると予測した。

大鷹大使が高等教育相を訪問=高等教育・先端技術分野で協力拡大

 5月14日、ヨッチャナン・ウォンサワット副首相兼高等教育・科学・研究・技術革新相は、高等教育・科学・研究・技術革新分野における日タイ協力拡大に向け、大鷹正人駐タイ大使[=写真左]と会談した。タイにおける高専(KOSEN)カリキュラムの導入拡大や、宇宙技術、シンクロトロン光、半導体といった重要分野での技術協力などについて協議した。


 会談にはスパチャイ・パトゥムナクン同省次官のほか、大臣顧問、秘書官、監査官、戦略・計画担当顧問、国立科学技術開発機構(NSTDA)、高等教育・科学・研究・技術革新政策事務局(NXPO)、シンクロトロン光科学研究所、地理情報学・宇宙技術開発機構(GISTDA)、国立天文学研究所など関連機関の幹部らも参加した。
 冒頭、ヨッチャナン副首相兼高等教育・科学・研究・技術革新相は、将来産業を牽引し、国の「新たな成長エンジン」を創出するため、先端技術の開発・普及と高度技術人材育成を重視する同省の方針を改めて強調した。
 「日本は多くの分野で高い専門性を持ち、産業界との連携を深める潜在力を有する重要なパートナーであり、長期的なタイの能力向上を支援する存在だ。高度技術の開発、科学インフラ、次世代産業、人材育成、そして持続可能な社会・環境問題解決への科学技術活用など、高等教育と先端技術開発分野での協力を一層強化したい」と述べた。
 人材育成については、タイにおける高専カリキュラム導入が進んでおり、現在キングモンクット工科大学ラーカバン校(KMITL)と同トンブリ校(KMUTT)で開講されているほか、第2フェーズとしてさらに1〜2校の高等教育機関で新たに導入する計画がある。MHESIは、日本の国立高等専門学校機構(NIT)と協議し、タイにおける高専カリキュラムの認定について、日本と同等水準の認定取得を目指している。
 会談では同省傘下機関の代表者らが、長年にわたる日タイ協力の成果を説明した。これには、エリア監視の効率向上、災害管理、気候変動研究における合成開口レーダー(SAR)技術の活用、「第4世代シンクロトロン光光源」の開発、半導体分野での協力、災害警戒システム構築に向けた衛星技術とIoTを組み合わせた活用などが含まれている。
 大鷹大使は、「日タイ両国は、科学技術と人材開発を中心に良好かつ長期的な協力関係を築いてきた。日本が専門性を持ち発展を続ける宇宙技術分野でさらなる協力拡大が可能だ。タイも宇宙産業を将来の成長分野と捉えており、特に農業、災害監視・管理、経済・社会分野での衛星および衛星データ活用に期待を寄せている」と今後の見通しを示した。
 高等教育・科学・研究・技術革新省と日本の経済産業省(METI)との間で進められている宇宙分野の協力覚書案については、すでに日本側からタイ側へ草案が送付されている。この日、スパチャイ次官から、省内検討は既に完了しており、現在、閣議承認に向けた手続きを進めているとの報告があった。

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