データセンター/クラウド事業=タイへの投資が拡大傾向
データセンターとクラウドサービスへの投資が勢いづいている。投資委員会(BOI)事務局が7月1日に出したニュースリリースによると、これまでに投資奨励は37件で、投資額は985億バーツを超えている。ナリット・トゥードサティラサック事務局長は、タイには5つの強みがあり、アセアンのデジタル経済ハブになれるとの見通しを示した。
デジタルサービスやAIの成長を受け、データセンターとクラウドサービスへの投資は外資系の大企業を中心に増大する傾向にある。BOIが投資奨励を認可したデータセンター、クラウドサービス事業の合計投資額は985億3900万バーツで、多くはバンコク、サムットプラカン、チョンブリ、ラヨンを事業地としている。
アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は、2037年までにタイでのデータセンター事業に2000億バーツを投資すると発表しており、第1フェーズですでに250億バーツを投じ、3つのデータセンターを設置している。このほかではオーストラリアのネクストDCが137億バーツ、シンガポールのSTT・GDCが45億バーツ、シンガポールのエボルーション・データセンターが40億バーツ、米国のスーパーナップが30億バーツ、日本のテレハウスが27億バーツ、香港のワン・アジアが20億バーツを投資するプロジェクトでBOI認可を受けている。グーグル、マイクロソフトもタイでのデータセンター事業への投資計画を発表している。
クラウドサービス事業では、アリババ・クラウドが40億バーツ、ファーウェイ(華為技術)が30億バーツを投資するプロジェクトで認可を得ている。タイ国内資本では、トゥルー・インターネット・データセンター、インターネット・タイランド、ガルフ・エナジー・デベロップメント、AISがデータセンター、クラウドサービス事業に投資している。
BOIはこのほかにもソフトウェア開発を含め、デジタル産業全体のエコシステムを支える事業への投資を奨励している。
◆タイの5つの強み
ナリット事務局長は、AWS、グーグル、マイクロソフトなどの世界の大手データセンター事業者によるタイへの投資について、タイがデジタル・ビジネスを手掛けるのに適切な環境を有する国であることの証左だと強調している。ナリット氏はタイには5つの強みがあると述べている。
第1に、アセアンの中心に位置する地理的条件。特に総人口2億5000万人に達するCLMV諸国との接続ハブになる可能性を秘めている。
第2に、高い安全性。データセンターは膨大な量の顧客の重要情報を管理することから、高い安全性が求められるビジネス。タイは地震、台風などの自然災害のリスクが低く、また国際舞台においても中立的で、地政学的対立の当事国でもない。さらに個人情報保護法やサイバーセキュリティ法などの国際標準を満たした法規もすでに制定しており、投資に対する信頼感の醸成をもたらしている。
第3に、安定した電力システムやクリーン・エネルギーの供給能力、世界有数の高速インターネットのネットワークなどのインフラの充実度。5Gネットワークは、アセアン諸国の中で最も多くのエリアをカバーし、大容量のデータ送信をサポートする。
第4に、国内市場の存在。デジタル・トランスフォーメーションを推進する官民の需要がある。インターネット・アクセスは総人口の88%、ソーシャルメディアのユーザーは70%以上に達している。タイ政府は最近、クラウド・ファースト政策も打ち出した。タイの消費者は、簡易送金のプロムペイ、モバイル・バンキング、電子決済などのデジタルシステムを通じた金融取引のスキルがすでにあり、官製電子財布などの利用を通じてアプリの使い方にも慣れている。
第5に、BOIによる手厚い投資優遇。機械設備の輸入関税の免除、法人所得税の免除に加え、外資による事業地の土地所有、外国人幹部や技術者のビザ、労働許可書取得への便宜、個人所得税の優遇策を用意している。各政府機関への許可申請もワンストップでできる。またOECDが進めるグローバル最低税の影響を軽減するための措置も準備中。
首相が東北4県訪問=ナコンラチャシマで地方閣議
セーター首相は6月30日から主要閣僚を率いて、ナコンラチャシマ、チャヤプーム、ブリラム、スリンの東北4県を訪問し、7月2日にはラーチャパット・ナコンラチャシマ大学で地方閣議を開いた。1日にはラーチャモンコン・イサーン工業大学でスマートシティのワークショップ「デジタル・コラート~これから始まる未来~未来のデジタル都市コラート」が開催され、首相が開会式に出席した=写真。
1日にはアヌティン・チャーンウィラクン副首相兼内相を議長に4県の県知事や民間企業との会議を開き、24件、総額5億バーツの地域開発プロジェクトを承認した。
スラポン・ピヤチョート運輸副大臣は、ナコンラチャシマ県で国鉄在来線の複線化事業とタイ中国高速鉄道第1フェーズの進捗状況を視察した。マプカパオ~タノンヂラ区間の在来線複線化は、土木工事の進捗率が95%に達している。
ピチャイ・チュンハワチラ副首相兼財務相は、政府住宅銀行ナコンラチャシマ支店での家計債務問題解決のイベントのオープニング式に出席した。債務返済が滞り、訴訟になっている債務者の債務を裁判所立ち合いで調停する。
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