2026年3月17日(火)号

燃料不足懸念で混乱広がる=買いだめで各地に給油行列

 中東情勢の緊迫化に伴い、燃料不足や価格高騰への懸念から各地の給油所で混乱が広がった。政府は、買いだめで国内の給油所に長い行列や燃料不足が発生していることを受け、燃料の公平な供給確保に向けた対応を進めている。
 3月12日、石油元売り大手バンチャーク社が世界的なエネルギー情勢の逼迫を受けて、Facebook上で給油制限措置を発表した。この時点では、4輪車は1日700バーツ、大型車両は3000バーツまでという具体的な上限が設けられ、農家などを除き携行缶への給油自粛も求めた。しかし同社はその後24時間以内にこの措置を撤回し、供給は十分であるとして通常通りの販売を再開した。15日早朝には、改めて制限の解除を正式に公表し、すべての顧客が通常通り給油可能であることを強調した。
 一方、アッタポン・ルークピブン・エネルギー大臣は13日、同省幹部、国営エネルギー会社であるPTTの経営陣とともに、米国のLNG会社であるシェニエール・エナジーのアナトール・フェイギン最高営業責任者と会談した[=写真]。協議では、既存契約に基づきタイへ供給されるLNGの年間引き渡し量を、現在の100万㌧から130万㌧へ増加させることで合意を目指した。15年間(2041年まで)の契約期間を通じてエネルギー安全保障を強化する狙いがある。
 また、一部のLNG輸送スケジュールを前倒しし、当初2026年第3四半期に予定していた供給の一部を第2四半期に繰り上げる可能性についても協議した。中東情勢の緊張が長期化した場合の影響を軽減するための措置で、シェニエール側は可能な限り迅速に対応する意向を示した。


 アッタポン大臣は、「エネルギー危機が発生して以降、政府はさまざまな対策を並行して進めてきた」と説明した。石油輸出の停止、石油備蓄量の拡大、中東以外の地域からの石油・ガス調達交渉、バイオ燃料の利用拡大、石油基金による小売価格への影響の緩和、省エネルギーの呼びかけなどの措置を進めているという。「政府が今回の危機を必ず乗り越えることができるため安心してほしい」と述べた。
 政府は国民の不安を鎮めるための声明を相次いで発表した。エネルギー省エネルギー事業局のサラーウット・ケーオターティップ局長は、3月13日時点でタイには96日分に相当する原油備蓄があり、燃料不足は起きていないと明言した。一部のスタンドで在庫切れが発生したのは、週明けに予定されていた軽油価格凍結の終了を前に、一般ドライバーや運送業者が殺到したことが原因と説明した。また、国営PTT社のコンクラパン・イントラジェーンCEOも、ホルムズ海峡に依存せず、米国や中南米、西アフリカなど世界中から調達が可能であり、国内の精製能力も十分だと強調した。サラーウット局長は、「需要に十分対応できる供給を確保するため、石油輸送体制を再編している」と述べた。
 PTT社はオンライン上で拡散していた「給油制限」の情報について公式に否定した。販売店に、あくまで需要急増に備えた「準備ガイドライン」を提示しだけであり、強制的な販売制限ではないと釈明した。そのガイドラインでは、4輪車500バーツ、大型車1000バーツという推奨値が含まれていたが、これは物流の混乱を避けるための管理策に過ぎず、燃料供給自体は途切れることなく継続されていると強調した。
 しかし、こうした当局の呼びかけにもかかわらず、全国各地でパニック買いが発生した。ターク県メソート郡では早朝5時から2kmを超える給油待ちの車列ができ、交通警察が車線を封鎖する事態となった。ルーイ県では「異常事態により完売」という掲示を出して一時閉鎖するスタンドが現れ、チュムポン県やラノーン県でも需要が通常の200~300%に急増した。各民間業者は、転売目的の買いだめを防ぐため、容器への給油を50㍑までに制限するなどの対応に追われる一日となった。
 アッタポン大臣は16日、石油販売業者や製油所の代表と緊急会議を開き、燃料配送の遅れによって一部の給油所で燃料が一時的に不足している問題について協議した。エネルギー省と石油会社は配送を加速するための緊急対策で合意した。追加のタンクローリーを投入するほか、配送頻度を増やし、貯蔵施設から需要が集中する地域への輸送量を増やす。
 エネルギー省によると、軽油の販売量は1日平均6800万㍑から1億1800万㍑へと85%急増。ガソリンとガソホールも、1日平均3000万㍑から4000万㍑へと増加している。PTTは、需要急増により輸送体制が逼迫していることを認めている。政府の燃料価格凍結措置が3月17日に終了することを受け、多くの消費者が値上がり前に燃料を確保しようとしているという。同社によると、通常、給油所への配送には、貯蔵施設からの距離に応じて12〜24時間かかる。
 一方、商業省は燃料価格上昇への対応策を検討しており、スパチー・スタムパン商業相は17日の閣議に提案する方針を示した。

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