3月の工業生産指数が小幅回復=輸出・観光が支えも外部リスク警戒
工業経済事務局(OIE)が4月30日に発表した3月の工業生産指数は108.69ポイントとなり、前年同月比0.75%増加した。設備稼働率は64.61%。石油、自動車産業の回復に加え、工業製品の輸出が継続的に拡大したことや、外国人観光客の増加も寄与した。第1四半期(1~3月)のMPIは102.76ポイントとなり、前年同期比0.83%増加し、平均設備稼働率は61.26%となった。今年の工業部門については、世界の通商政策に伴うリスクを適切に管理できれば、観光部門と国内消費の継続的な拡大を背景に、回復が見込まれるとしている。
スパキット・ブンシリ事務局長[=写真]は、3月のMPIの上昇について、石油、自動車産業が再び拡大に転じたことに加え、工業製品の輸出と外国人観光客の増加によるものだと説明した。石油産業は前年同月比1.48%増、自動車産業は同0.55%増となった。一方で、地政学的緊張や長期化する傾向にある貿易制限措置の影響、物流・エネルギーコストの上昇、さらには輸入製品との競争激化によって、国内事業者が競争面での圧力に直面している点について注視していると述べた。

工業製品の輸出は高い伸びを維持しており、3月の金・武器を除いた輸出は21.10%増と、21か月連続で拡大している。さらに、3月の外国人観光客数は280万人、前年同月比2.0%増加し、冷凍豚肉、ポテトチップス、ビール、ソーセージなど関連産業にプラスの影響をもたらした。
政府の安定性と円滑な新政権樹立プロセスは、各種経済刺激策やプロジェクトの継続性に好影響を与えており、これが経済活動全体と工業部門の重要な支援要因となりそう。工業経済の全体像は、複数の要因から拡大の兆しを示しており、多くは国内要因が支えている。ただし、工業部門は依然として多方面からの圧力に直面しており、世界経済の変動、地政学的状況、貿易相手国による保護主義的措置の影響が大きい。
スパキット氏は外部要因に伴うリスクを綿密に監視・管理し、国内需要の強化を図ることが、今後の工業部門を下支えする重要な要素になるとした。2026年については、世界の通商政策に関するリスクを適切に管理し、政府の景気刺激策による支援が得られれば、工業部門は徐々に回復していく見通しにあると述べた。
一方、4月の工業経済警戒システムは、「警戒レベルの上昇」を示した。国外要因では、中東戦争がインフレ動向と各国の生産コストに影響を与えている。国内要因についても、生産コストの上昇傾向に対する警戒が引き続き必要だ。
スパキット氏は、モーターショーの受注台数が13万2951台となり、前年から5万5572台、率にして71.8%増加したことは、EVやハイブリッド車を中心に自動車に対する需要が高水準で拡大していることを示していると述べた。原油価格の高止まりに加え、PM2.5問題の深刻化により、消費者が省エネで低排出の車両をより重視するようになっていると指摘した。また、政府によるEV3.0、EV3.5の支援策、ハイブリッド車とマイルドハイブリッド車生産に対する支援措置が、需要の創出と市場転換の加速において重要な役割を果たしているとした。
スパキット氏は、これらの動向が自動車生産と国内部品使用の拡大につながり、自動車産業の指数の上昇を後押しするほか、タイが地域の次世代自動車の生産拠点へと発展するための重要な推進力になるとの見方を示した。
3月の工業生産指数を押し上げた主な産業をみると、砂糖産業は前年同月比60.74%増と大幅に拡大した。好天候によりサトウキビの圧搾量が増えたことにより、粗糖、糖蜜、精製白糖の生産が増加した。
鉄鋼一次製品は前年同月比14.06%増となった。主に熱延鋼板、異形棒鋼、鋼線の需要が拡大したことによる。タイの複数の製鉄所は、EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)で定められた基準よりもCO2排出量の少ない製造プロセスを採用していることから、欧州向け輸出の拡大につながっているという。
基礎化学産業は前年同月比16.09%増となり、主に苛性ソーダ、塩素、エタノールの生産が増加した。一部メーカーが生産能力を拡張し、中東情勢を背景としたガソホール用エタノールの需要増に対応した。
一方で、指数を押し下げた主な産業をみると、汎用機械は前年同月比12.56%減少した。主にエアコン生産の減少によるもので、景気の低迷、米国の関税措置、国際的な貿易摩擦の影響に加え、販売代理店に在庫が過剰に積み上がっていることが理由。また、前年は一部メーカーがベトナム向けに大量受注していたことによるハイベース効果も影響している。
基礎プラスチック/合成ゴムは前年同月比10.60%減となった。ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、エチレンの生産減によるもので、一部メーカーが定期メンテナンスのため一時的に生産を停止したことや、ホルムズ海峡封鎖の影響による原材料不足が響いた。
澱粉・同製品は前年同月比23.57%減少した。タピオカ澱粉の生産減によるもので、干ばつやモザイク病の影響でキャッサバの収量が減少したことに加え、タイ・カンボジア国境情勢の影響でカンボジアからの原料輸入が困難となった。
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