2026年4月29日(水)号

財務省の経済見通し=成長率は1.6%に下方修正

 財務省は4月28日、2026年のタイ経済見通しを発表した。国外要因や世界的な地政学リスクによる圧力に直面しつつも、緩やかな回復軌道にあることから今年の経済成長率を1.6%(予測範囲1.1~2.1%)と見積もった。中東戦争が始まる前の今年1月時点の予測の2.0%増からは下方修正となった。財務省は成長率を維持するための積極的な政策運営を行なうと同時に、長期的な競争力強化に向けた経済構造改革を加速させる。
 財務省報道官を務めるウィニット・ウィセートスワンナプーム財政局長[=写真]は、タイ経済が内外需の双方に支えられるとしており、輸出は6.2%増と予測した。3か月前の予測の1.0%増を大幅に上回るもので、主要貿易相手国の需要の回復に加え、第1四半期(1~3月)が好調だったことを上方修正の根拠に挙げた。


 一方、輸入は13.9%増が見込まれており、工業生産の動向に沿った動きとなる。主に設備投資や原材料の前倒し輸入が進むことによるもので、今後の民間投資の拡大や輸出向け生産の増加が期待できる。輸入の大幅な増加は、エネルギー輸入価格の上昇も影響を及ぼしている。
 国内需要は堅調に拡大し、経済成長の主要な原動力となる見通し。民間消費は2.3%成長が予測されており、観光業の回復による所得への広範な波及や、政府の生活費負担軽減策が家計の購買力を下支えする。
 民間投資は3.2%増と予測した。投資申請の増加を背景に、実際の投資実行に向けたフォローアップが進められている。「タイランド・ファストパス」などの施策や、投資家が重視する主要な障害の解消、とりわけ新産業分野への支援が進められていることに加え、タイを生産拠点とする外資の信頼感も引き続き投資の拡大を後押しする。
 財政面では、政府が経済成長を下支えする役割を本格的に回復させる見通し。政府消費は1.3%増、政府投資は1.7%増が見込まれている。2027年度予算法案の審議は期初前に完了する見通しにある。ウィニット氏は、財政資金が経済全体に継続的に流入し、特に大型インフラ投資(メガプロジェクト)を通じて競争力の強化と民間投資の誘発(クラウディング・イン効果)が期待できると述べた。国営企業の投資も予算執行が続いており、2026年度上半期には約1170億バーツが支出され、執行率は50.0%と前年同期を上回った。
 マクロ経済の安定性については、一般インフレ率を年3.0%(予測範囲2.5~3.5%)と予測した。金融政策の目標範囲内に収まる。世界的なエネルギー価格上昇の影響を反映したもので、ドバイ原油価格は年間平均で1バレル当たり91.0㌦(86.0~96.0㌦)を想定している。
 対外面の安定性も強固で、経常収支は60億㌦の黒字(GDP比1.0%)を見込む。
 ウィニット氏は、世界的な地政学リスク、エネルギー危機、AI技術の進展といった課題があるなかでも、タイ経済を潜在成長力に沿って拡大させることを目標にしていると述べた。また、中小企業の機会創出を図るとともに、財政規律を維持しつつも必要に応じて柔軟な政策運営を行なう方針を示した。
 国内投資の水準をGDPの30%の水準まで引き上げることを目標とし、特にグリーン経済とデジタル分野のインフラ投資を重点的に推進することで、タイの持続的な経済基盤の確立を目指すとしている。
 いずれにしても、タイ経済に影響を及ぼす要因については、引き続き注視が必要だ。ウィニット氏は、①中東地域における紛争が長期化し、エネルギー価格に影響を及ぼす可能性、②保護主義的貿易政策の不確実性を中心とした世界貿易体制の変動、③エルニーニョ現象による猛暑や旱魃といった気候リスク、④家計債務と企業債務が高水準にあることによる金融面の脆弱性を懸念材料に挙げた。

その他のニュース
[経済ニュース]
「タイチュアイタイ・プラス」=月1000バーツを4か月間支給

ランドブリッジ計画、閣議提出へ=物流ハブ化へ国家戦略として推進

経済政策委員会を設置

首相がシンガポール閣僚と会談=5分野で連携強化を確認

電力料金引き下げ策=住宅は1ユニット3バーツ以下

2027年度予算の大枠決定=歳出総額3兆7880億バーツ

海外旅行者に出国税=1人1000バーツを想定

燃料価格安定へ=200億バーツ借入を承認

テラホップ(タイランド)社=創立5周年

APタイランド=第1四半期売上206億バーツ

EVATが燃料依存低減へ提言=EV基盤整備と政策連携を要請

THAIFEX – ANUGA ASIA 2026=5月26~30日、インパクトで

タイとドイツ州が経済協力を強化=農業・化学など重点分野で連携

[社会ニュース]
生活費支援策「概ね適切」=NIDA調査で過半数が評価

機内で「爆弾」発言カップル逮捕=エアアジア便、4時間超の遅延に

歩道へのバイク侵入を防止=都庁が柵設置で安全対策

[トピックス]
TISCOファイナンシャル・グループ=経済の不安定化と複合リスクに警鐘

[講演]
ダラニー・セーチュータイ中央銀行総裁補=「人間中心のデジタル金融」訴え

[レポート]
家計債務の対GDP比が上昇=債務返済能力を圧迫

[BOI認可事業]
3月23日認可した27事業

あわせて読みたい
無料トライアル 【無料トライアルのご案内】 タイ経済パブリッシングは毎日(土日祝を除く)、A4サイズのPDF版ニュースレターを定期購読者様にメール配信しております。 購読料金...
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次