REIC、首都圏住宅市場を展望=都市拡大で副都心に商機
不動産情報センター(REIC)のマーナ・ニミットワニット所長[=写真]は9月24日、バンコクのグランド・センター・ポイント・プレステージ・ホテルでProp2Morrowが開催したセミナーに登壇した。「バンコク首都圏の不動産市場を概観する」をテーマに、都市拡大に伴う市場の成長方向や新たな不動産開発について説明し、先行きを展望した。

マーナ所長によると、バンコク首都圏の住宅市場には明るい兆しが出始め、住宅の所有権移転件数も増えている。とは言え、需給の均衡は引き続き慎重に見極める必要がある。2026年上半期の住宅所有権移転は7万9703戸と、前年同期比20.8%増加した。所有権移転・住宅ローン登記手数料の引き下げ措置が6月30日に終了する予定だったため、駆け込みで移転が進んだことも一因だ。その後、同措置は2027年6月30日まで延長された。
2026年第2四半期時点で、販売中の住宅事業の未販売在庫は20万2414戸にのぼる。前年同期比では10.2%減少したものの、在庫状況は地域によって異なる。事業者は立地ごとの実需を見極め、新規事業の投入を慎重に判断する必要があるとした。
◆都市構造、ネットワーク型へ
都市の拡大に伴い、事業機会はバンコク中心部以外にも広がっている。マーナ所長は、複数の経済拠点が形成される「ネットワーク型都市」への移行を指摘。将来性のある立地を判断するには、鉄道へのアクセス、雇用拠点への近さ、生活ニーズに応える利便施設などを総合的に考慮する必要があると述べた。新たな経済拠点の具体例として、ラマ9世~ラチャダー地区や、バンナー~スワンナプーム~EECを結ぶ地域を挙げた。
都市計画や交通システムの変化も重要な要因だ。今後の立地価値や開発可能な事業形態に影響する可能性があるため、動向を継続的に確認する必要があるという。価格帯によって市場の課題も異なり、高価格帯では住宅の品質や居住スタイルが重視される一方、中・低価格帯では家計債務や住宅ローンの利用の難しさが引き続き重荷になっている。
消費者行動にも変化がみられる。住宅購入者はオンライン情報やレビューなどを活用して事前に物件を比較するようになり、特に若年層では立地やライフスタイル、住み方の柔軟性を重視する傾向が強まっている。都市部の地価上昇に伴い、同じ予算でより広い居住空間を求めて郊外へ移る層が増える可能性もある。コンドミニアムでは、専有面積を抑える一方で共用施設やサービスを充実させるなど、価格以外の付加価値が一段と重要になる。
REICは、住宅市場の回復の兆しが以前より明確になっているとみる。所有権移転が回復し、未売在庫も徐々に減少するなか、鉄道路線の拡大や都市計画の変化によって新たな事業機会も生まれている。もっとも、住宅ローンの利用の難しさや家計債務、開発コスト、外国人需要の動向、世界経済の不確実性などは、引き続き市場を制約する要因だ。事業者には、地域ごとの購買力や実需を見極め、投資や新規開発を判断することが求められる。
REICは、不動産データの市場分析や意思決定への活用を通じ、住宅需要に沿った都市開発を支援していく。
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