工業生産指数に連鎖方式導入=9月2.05%上昇、AI需要が追い風
工業経済事務局(OIE)は、工業生産指数(MPI)の算出に連鎖方式(Chain-link Approach)を導入した。9月のMPIは101.37で前年同月比2.05%上昇、第3四半期は100.30で前年同期比3.40%上昇した。AIやデータセンター関連の電子製品需要に加え、政府の支援策が生産を下支えした。
スパキット・ブンシリ事務局長[=写真]によると、9月の設備稼働率は60.58%、第3四半期平均は59.98%だった。連鎖方式の導入については、産業の生産構造や技術、世界市場の需要変化を従来より迅速かつ適切に指数へ反映することが狙いだと説明した。
国内では「タイチュアイタイ・プラス」による購買力の刺激が食品、飲料、包装材などの生産を支えた。9~12月の電力料金を1ユニット当たり3.95バーツから3.89バーツへ引き下げたことも、企業の生産コストと家計の負担軽減に寄与している。
さらに、AIやデータセンターの世界的な拡大を受け、電子製品の生産・輸出が伸びている。
一方で、中東の紛争によるエネルギー価格や輸送費の変動、海外からの低価格輸入品との競争が引き続きリスク要因として残る。既製服、鋼板、プラスチック製品などでは、安価な輸入品の増加が国内企業の売上高を圧迫している。
工業経済の早期警戒システムは、10月の国内要因について暫定的に「正常」と判断した。輸出や投資の拡大、政府の景気刺激策が引き続き支援材料になるとみている。ただし、エネルギー・輸送コストの上昇、洪水による原材料・製品輸送への影響、受注への信頼感低下などの圧力が残る。
一方、海外要因は「警戒」シグナルを発した。地政学的紛争の長期化、EUの抗議活動や景気減速、米国の輸入関税措置をめぐる不確実性などをリスクとして挙げた。
9月のMPIを押し上げた主要産業では、電子部品・電子回路基板が前年同月比27.28%上昇した。PCBAの生産増が主因で、電子部品分野では生産能力拡大に向けた投資も進んでいる。
通信機器は50.31%上昇した。世界的なデータセンター需要の拡大に伴って光信号送受信機器の生産が伸び、国内メーカーの雇用者数も前年の2倍超に増加した。
コンピュータ・周辺機器は8.38%上昇。主にハードディスクドライブ(HDD)の生産増によるもので、データセンターとAI市場の拡大が支えている。
一方、石油精製品は5.93%低下した。一部製油所が設備の保守・修繕で操業を停止し、軽油の生産が減少した。
プラスチック/ゴムは13.22%低下した。ポリエチレン(PE)、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレンなどの生産が減少。中東情勢による原料・生産コストの変動に加え、低価格輸入品との競争も影響した。
自動車は6.22%低下した。内燃機関車、ハイブリッド車、ピックアップトラックの生産が減少した。高水準の家計債務、購買力の弱さ、金融機関の厳格な融資審査に加え、EVへの需要シフトも影響している。
◆ペットフード、世界2位の輸出国に
OIEは、成長産業としてペットフードに注目している。ペットを家族の一員とみなす「ペットヒューマニゼーション」の広がりが市場の拡大を支えている。タイは2024年以降、世界第2位のペットフード輸出国に浮上。2025年の輸出額は28億9900万㌦で、世界市場の10.3%を占めた。2026年上期の輸出額も前年同期比7.57%増加した。8月のペットフードのMPIは前年同月比12.07%上昇し、1~8月では11.27%上昇した。
国内に原材料から加工までのサプライチェーンを持つことや、国際水準の生産基準、需要に合わせた商品開発力が競争力を支えている。もっとも、世界市場では競争や品質・規制基準が厳しくなっている。OIEは、今後も技術・イノベーションへの投資やブランド構築を進め、高付加価値化と新市場の開拓を図る必要があるとしている。
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