工業団地のアマタが50周年=持続可能な未来へ向け新たな展望
工業団地開発・運営のアマタ・コーポレーションが總業50周年を迎えた。ウィクロム・クロマディット会長兼CEOは1月17日にアマタ・キャッスルで開催した記念式典[=写真]で、今後の事業計画に言及し、「Eternal Dream」のコンセプトのもとでインダストリアルシティ開発におけるリーダーシップをさらに強化すると述べた。タイ、ベトナム、ラオスで工業団地の拡張を進め、東南アジア地域の製造拠点としての地位を強化する。

ウィクロム会長は50周年記念が過去の成功を祝うにとどまらず、東南アジア地域のすべての関係者に持続可能な未来を提供し、次世代にその成功を引き継ぐための出発点になると述べた。アマタは50年間にわたって工業団地を開発し、国内外の投資を受け入れて経済成長を支えてきた。国の経済開発の計画に沿った立地選びにより、官民のインフラ整備が進んだ結果、アマタの工業団地は「完璧な産業都市」に成長した。タイとアセアン地域の産業の競争力を高め、世界の舞台でのプレゼンスの強化に貢献している。同会長は特に環境に配慮した産業の推進を重視していることを強調した。企業のニーズに応える産業都市を作るだけでなく、経済、社会、環境のバランスを保つ都市づくりを標榜している。
アマタはタイ国内に4か所の工業団地を開発しており、昨年までに2500億バーツ以上の投資を受け入れてきた。24年は創業以来、最大の投資額を記録したもよう。世界的な精密機械メーカーやデータセンターなどの有力企業がアマタの工業団地に多数進出してる。中国企業も400ライの工場用地に関心を示しており、24年は土地分譲と入居企業の誘致で大きな成果を上げた年となった。
◆べトナム、ラオス事業
アマタは現在、タイ、ベトナム、ラオスの3か国で合計9万3000ライ以上の工場用地を持ち、新たな工場用地の拡張を続けている。特にデジタル、EV、データセンターなど未来産業に対応した開発が進んでいる。ウィクロム会長によれば、アマタは東南アジア地域に進出する企業の信頼を高めるため、持続可能で包括的なインフラ開発に注力している。3年間雨が降らない状況でも安定的に使用できる水管理システムや、太陽光を利用したクリーンエネルギーの開発、環境負荷の低減を目的とした再生可能エネルギーの推進などを例に挙げた。また、未来産業を支えるテクノロジーとイノベーションの活用も進めている。
ベトナムとラオスでも工業団地の開発を進めている。最も新しいところでは、ベトナム北部のフータウ省での新たな工業団地の発を検討している。中国との国境に近く、ベトナムと中国を結ぶ鉄道とつながる戦略的な位置にある。ラオスのアマタ工業団地は、ラオス北部のウドムサイ県の13万ライに開発を進めている。ラオスと中国の国境から40㌔㍍の距離で、タイ、ベトナム、ミャンマーとのアクセスも良好。現在、第1フェーズとして6000ライの造成が進行中で、25年の開業を予定している。中国をはじめとする多国籍企業を引き付け、ラオスの経済成長を促し、アセアンと華南地域の貿易・投資の中心地として機能すると期待している。
アマタは、経済、社会、環境のバランスを保つという「All Win」の哲学を実践し、すべての関係者が利益を享受できるよう取り組んでいる。地域の経済発展を支えるため、周辺コミュニティに利益をもたらすプロジェクトを進め、生活の質の向上に取り組んでいる。
◆ウィクロム氏のビジネス哲学
1970年代半ばにまだ20代の若者だったウィクロム氏は、台湾の大学を卒業後にタイに帰国し、当初は貿易業やコンサルタント業を営んでいたが、工業団地の造成事業に進出した。それから半世紀、一代でタイ、ベトナムそしてラオスにまたがる企業に育てた。同社が運営する工業団地に入居している企業は現在1500社を超えている。
働く人の幸福感や充実感を重視するウィクロム氏のビジネス哲学は同社の工業団地にそのまま反映されている。工業団地を一つの町に位置付け、そこで働く人々の生活環境を最適にするよう努めた。緑地を適度に配分し、最先端の設備を導入することで、快適性、利便性、持続可能性を追求した。運営管理も効率性を追求し、居心地の良さを引き出している。タイでも、ベトナムでもこうしたコンセプトを貫いていることで、同社の工業団地の人気は高い。近年は持続可能性をさらに追求し、エネルギー効率を高めるための先端技術や再生可能エネルギーの導入を進めている。
工業団地に求められる要素として、物流の利便性・効率性がある。アマタの工業団地はいずれも主要空港や港湾、鉄道駅にアクセスしやすい立地になっている。将来有望とされる業種がアマタの工業団地に入居したがるのは、こうした要素を兼ね備えているからだ。
今年で72歳になるウィクロム氏の意欲は衰えを知らない。ラオスでエコ・フレンドリー型のスマート工業団地と住宅団地を造成中。事業地は13万ライの広大な土地で、第1期工事では6000ライを開発している。農産加工業、食品産業を中心に誘致する計画だ。住宅団地を併設し、工業団地で働く人々の住宅として機能させる。同社の新事業分野としての住宅開発事業の試金石ともなる。
ウィクロム氏は米中対立や地政学的対立から、タイ、ベトナム、ラオスを含むアセアン諸国への海外からの投資は今後さらに増え続けるとみている。タイでは投資を受け入れるため、1万5000ライの工場用地を用意している。既存のラヨン、チョンブリ両県のアマタシティ工業団地の未開発地も含まれる。
アマタのタイ国内の工業団地の入居企業で最も多いのは日系企業で、約700社が入居している。これに続くのは中国企業の300社超。このほかに台湾、シンガポール、米国、欧州の企業がある。近年はEVや再生可能エネルギーなど、タイ政府が掲げるS字カーブ(成長)産業に投資する中国資本が増えている。
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