2025年1月28日(火)号

グリーン電力「UGT1」=電力3公団が供給開始

 エネルギー事業監督委員会(ERC)は1月23日、タイ発電公団(EGAT)、首都電力公団(MEA)、地方電力公団(PEA)と共に、「グリーン電力」のサービスを開始すると発表した。「ユーティリティ・グリーン・タリフ1(UGT1)」という料金プランで、電力の供給源を特定しないグリーン電力。グリーン電力を利用したい企業の選択肢が広がる。特にタイへの投資を検討する外国の有力企業は、クリーンな電力を求めていることから海外の投資誘致の促進でも重要な施策になる。

左からピサヌ氏、タワッチャイ氏、プーンパット氏、プースダー氏


 ERCのプーンパット・リーソムバットパイブン事務局長によれば、UGT1の料金は通常の電力料金に約6サタンの追加料金を加算したものになる。この料金はグリーン電力を使用する企業にのみ適用されるため、一般家庭や他の電力利用者には影響を及ぼさない。同サービスを希望する企業は電力3公団のウェブサイトから申し込むことができる。地方電力公団のユーザーは「ugt.pea.co.th」、首都電力公団のユーザーは「mea.or.th」、発電公団の顧客は「egat.co.th」から申し込む。期限は2月28日。
 プーンパット事務局長は電力供給源を特定しないグリーン電力の供給開始は、クリーンな電力サービス供給の重要な一歩と述べている。認証プロセスは国際的な基準と規則に沿っている。タイで初めての完全なクリーン電力の供給と認証の取り組みで、タイの企業が世界市場で競争でき、貿易と投資における障壁を取り除くほか、世界のトップ企業にタイを製造、貿易、投資の拠点として選んでもらえるようになると期待している。
 電力3公団のUGT1は年間約20億ユニットの需要を満たすことができる。すでに約6億ユニットの利用登録がなされている。主に、国際貿易を手掛ける企業が親会社や取引先の方針に基づいて温室効果ガス排出量の報告書を作成するために利用している。またタイ証券取引所(SET)上場企業の中で、グリーン電力認証を受けることでSETのクリーンエネルギー支援策を活用しようとする企業もある。これには金融業、製造業、小売業が含まれる。I-REC基準に基づくクリーン電力認証と供給源の認証書類の発行準備も進めている。I-RECは国際的に最も広く認められている認証基準の一つ。
 プーンパット事務局長によれば、今後、特定の電力供給源に基づいたグリーン電力サービス(UGT2)、直接契約(DダイレクトPPA)の導入を予定している。
 発電公団のタワッチャイ・サムラーンワニット戦略担当副総裁は、間接的な温室効果ガス排出(スコープ2)を削減したい電力ユーザーのニーズに応えるため、ユーティリティ・グリーン・タリフを開発したと説明した。再生可能エネルギーによる電力生産証明書(REC)を活用し、国際的に認められたI-REC基準に基づいている。同副総裁はネットゼロを目指す企業や、タイ国内でグリーン電力を利用したい企業のニーズに応えるだけでなく、海外からの投資を誘致する重要なツールにもなると強調した。
 首都電力公団のピサヌ・タンティターウォン戦略・組織・持続可能性担当副総裁によれば、公団のサービス区域(バンコク、ノンタブリ、サムットプラカン)でUGT1を希望する電力ユーザーは公団のウェブサイトまたはプラットフォーム(https://eservice.mea.or.th/ugt/)から登録書類をダウンロードし、申し込みことができる。公団が書類を確認し、内容に問題がなければ、各月に必要なグリーン電力量を選択する。「先着順」で割り当てる。割り当てを受けた企業は、UGT1サービスの開始前に契約書に署名する。
 地方電力公団のプースダー・ソンカシリ戦略担当総裁補は、グリーン電力サービスを提供する準備が整っており、1月2日から申し込みを受け付けていることを明らかにした。ウェブサイトやさまざまなソーシャルメディアを通じて積極的に広報活動を展開しており、電子機器、化学製品、石化産業などの企業が登録している。PEAコンタクトセンター(1129)で24時間、問い合わせに対応していることも付け加えた。

社会保険委員会=月収上限の改定案を承認

 労働省社会保険委員会は1月21日の会合で、社会保険料算出の基準となる被保険者の月給上限の改定に関する省令案を承認した。現在、社会保険の被保険者と雇用主が支払う社会保険料は被保険者の月給の5%となっているが、上限は1万5000バーツ。例えば実際の月給が2万バーツであっても保険料は1万5000バーツの5%に相当する750バーツになる。
 現在1万5000バーツとなっている月収上限を2026~28年の3年間は1万7500バーツに、29~31年は2万バーツに、32年以降は2万3000バーツへと段階的に引き上げる。これに伴い被保険者と雇用主が支払う保険料上限は月額750バーツから875バーツ(26~28年)、1000バーツ(29~31年)、1150バーツ(32年以降)に引き上げられる。
 同案では保険給付額も段階的に引き上げる。現在、月額上限7500バーツの傷病手当と障害者手当、失業手当はそれぞれ8750バーツ(26~28年)、1万バーツ(29~31年)、1万1500バーツ(32年以降)、出産1回あたり上限2万2500バーツの出産育児一時金は2万6250バーツ(26~28年)、3万バーツ(29~31年)、3万4500バーツ(32年以降)、現在9万バーツの葬儀費は10万5000バーツ(26~28年)、12万バーツ(29~31年)、13万8000バーツ(32年以降)に増やす。老齢年金は現在、積立期間15年以下の場合は月額上限3000バーツ、25年以下の場合は5250バーツとなっているが、これをそれぞれ3500バーツ/6125バーツ(26~28年)、4000バーツ/7000バーツ(29~31年)、4600バーツ/8050バーツ(32年以降)に引き上げる。
 現在の月給上限は1991年に社会保険制度が発足して以降、改定されていない。当時とは経済社会情勢が変化し、賃金水準や物価水準も上昇しているため改定が妥当と判断した。
 社会保険委員会の委員長を務めるブンソン・タップチャイユット労働省次官によれば、改定案は20万人以上から意見を聴取し、95%の賛同を得ている。引き上げ幅は上限値を平均賃金水準の1.25倍とする国際基準を参照した。
 改定案は省内手続きを経て閣議に提出予する。閣議承認までに4~5か月を要する見通し。省令は公布から施行まで180日間の猶予期間を設ける。発効するのは26年以降になる。

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